サリダチェア YL9
前回の続き
ムッツリーニ・ド・ヘンタイ・ヒトバシラによるワークチェア選びは終了した。
そしてついに新しいワークチェアが届く。
およそ25kgの箱を持って狭い階段をあがるのは少々骨が折れたが、そんな苦労も「久々の買い物!」という興奮がすぐに搔き消してくれた。
この不安なご時世でまんまと節約志向となってしまっていた私は、このところ特別意識した買い物をしていなかった。思い返してみても税金の支払いだけにお金を消費している感覚さえある。健全な生活を保証するためとはいえ手元に何も残らない出費とは常に虚しいものだ。
そういった意味で今回のこの買い物はそんな日頃の虚無感をリフレッシュさせてくれる良いものだった。
浪費は時として気分を高揚させてくれる。
さて、使い始めてからまだ一週間という時点でのレビューは時期尚早と思われるだろうが、はじめて使用したときの第一印象は実に忘れやすい。
長く使わなければその真価はわからないとはいえ、そこには「慣れる」という強いバイアスがかかるわけだし、私がこのワークチェアを評価するにはこれまで使っていたものと比較せざるを得ないので、私の感覚と記憶が薄れる前に早々とレビューへ踏み切ることにした。
「良いレビュー」とはどういったものだろうか?
それは、「主体性と客観性をバランス良く保ち」「正確に」「わかりやすく」そのものを批評したものである。
そこには的確な言葉選びと、それらを文章としてうまく構築するテクニックも必要となるだろう。
さらに、
「レビューを行う者が信用に足る人間かどうか」は極めて重要なポイントだ。
ここで改めてこの記事の一文目を見てほしい。
「ムッツリーニ・ド・ヘンタイ・ヒトバシラ」
このような全くわけのわからないことを当たり前のことのように書く人間がレビューを行おうとしている。
読む気になるだろうか。
「ムッツリーニ・ド・ヘンタイ??ド変態?何それ気持ち悪」
これが普通の反応だ。
たいていの人は、
「むっつり」= なんかいやらしい
「変態」= 変質者
と捉えているわけで、
なんかいやらしい変質者は直感的に気持ち悪いのだ。
しかも「変質者」という言葉の意味には「いやらしい」がすでに内包されている気もする。
つまり、とてつもなくいやらしいのだ。
もうお気付きの通り、
ムッツリーニ・ド・ヘンタイ・ヒトバシラ = 私 であり、
ムッツリーニ・ド・ヘンタイ・ヒトバシラ = とてつもなくいやらしい人間 ということは、
私 = とてつもなくいやらしい人間 となる。
よってこの記事は、
「とてつもなくいやらしい人間」による、「サリダチェア YL9」のレビューということだ。
おそらく本文中に「とてつもないいやらしさ」が表れることはないと思うが、
本質的には「とてつもなくいやらしい人間」が書いているので、「それは生理的に無理。」という方は早くこのページから離れたほうがよい。
そしてここまでのような内容の無いものが生理的に無理という方も同様である。
時間は有限だ。
サリダチェアYL9 レビュー
ひとまずここで「私はどんなワークチェアを求めたのか」をざっくりとおさらいしておこう。
1. 予算は5万円。
2. 国内メーカー品。
3. これまで使っていたワークチェアより機能が豊富なもの。
4. 耐用年数が長そうな材質のもの。
5. もっさりしたフォルムではないもの。
詳しくは前回の記事を見ていただくとして、
とりあえず上の1から5の項目に沿いながら「サリダチェアYL9」のレビューをしていこうと思う。
発端にジェフベゾスがどうたらこうたらと書いたが、私ももうわかっている、いくら良いワークチェアにしたところで自分の能力が一気に上がるわけではない。
もちろん長い期間でみれば間接的な要因はあるのだろうが、集中力やらやる気を出したいといったことは結局のところ自分のメンタルでどうにかするしかないのだ。
座るだけでスキンヘッドなど正気の沙汰ではない。
1. 予算は5万円。
¥36,900で購入
amazonで購入した。販売価格は¥39,900である。
どういうわけかクーポンが使えてそこから三千円オフとなったので購入価格は¥36,900であった。
このあと壺でも買わされるのかと不安になったがそういうわけでもないらしい。お得だ。
2. 国内メーカー品。
イトーキを選択
国内メーカー品、5万円以内のソートをかけても思った以上に選択肢はあった。
ヘッドレストや肘掛などのオプションをつけると5万円を超えてしまうものなかにはあるが、候補に挙がったのは以下の通りである。
会社名をクリックすればその会社のイス一覧、
商品名をクリックすればオフィシャル紹介ページへ飛びます。
あと参考までにamazonリンクも貼らせて頂きたく所存で思い存じ上げておりくぁwせdrftgyふじこlp
名前にどこか妖艶さを感じる。
RPG感。
・M4
ネジの規格ではない。
vitraではない。
\ わたしぴこら!/
ワークチェア沼の入り口。
正確にはオランダのブランドらしい。
こちらはマレーシアブランドだった。
・シティオ
昔我が家に「シティー」という車があったことを思い出す。
ご購入はイトーキオンラインショップ、アスクルなどにて。
肘掛をオプションでつけて価格は二万円弱。お手軽。
フォルムと価格が売り。
機能が売り。だと思う。
サリダのいろんな要素を合体。
JAY-Zの最も新しいアルバムは「4:44」
えっと、、。ジェイジぃ、、
Jay-Zの6! ヨシ!
やはりこれらよりグレードの高いシリーズが各社あるので廉価版と感じてしまうこともなきにしもあらず。
しかしながら、それぞれを詳細に見ていくと家庭で使うワークチェアとしてはどれも充分満足できそうだ。
なかでもオカムラ、コクヨはスタイリッシュなものも多く大変魅力的であった。
私はこの中からイトーキを選択したわけだが、国内企業であること以外 特に理由はない。求める条件を総合的に判断した結果がイトーキになったという感じだ。
その他にも候補に挙げなかった5万円以内で買えるものはまだあるので、詳しくは各社販売ページをご覧ください。
スクロールお疲れ様でした。
3. これまで使っていたものより機能が豊富なもの。
サリダチェアYL9の機能は必要最低限
これまで使ってきたものより多機能なものということで探しはじめたが、あれより少ないものを探すことの方が逆に難しいことがわかった。そして私の予算では万能ワークチェアが早くも候補から除外されてしまったので、途中からは機能を取捨選択する作業に切り替わっていった。
今回購入した「サリダチェアYL9」の機能は、グレードの高いワークチェアと比較してしまえばどうしても必要最低限といったところではある。
妥協した点は、
・ランバーサポート
・肘掛の「前後調整」「左右調整」など
・座面の前傾セッティング
・ロッキングの硬さ調整機構
・オットマン
以上の5つ。
機能面はErgohuman PROが万能チェアと思っているところがありどうしてもそれと比較してしまうことが多かった。しかしそれら機能を実際に使ったことがあるわけでもなく、それが自分にとって本当に必要なのかも知る由も無いので今となっては単なる隣の芝アオである。
さてここでは「サリダYL9」の機能、特徴を紹介しようと思う。
それとともに各パーツの使用感も述べたい。
エラストマー素材
前回の記事でワークチェアの選び方をつらづらと書いたが、整理してみると「良いワークチェア選びは材質選びである」というのが私の中でしっくりきた。
「サリダチェアYL9」の最大の特徴はエラストマー素材が使われていることである。
他製品にはメッシュ素材が使われていることが多いが、YL9は、ヘッドレスト・背もたれにエラストマー素材を採用している。私がこのワークチェアを選択した一番の理由はコレと言っていい。
新品の状態が一番良い状態とするならば長い期間使っていく上でできるだけ経年変化が起こりにくそうなものを選ぼうと考えた。
しかしながらこれまで私はエラストマー素材が使われたイスに座ったことは一度もなかったし、
「そもそもエラストマーって何?」といった状態であり、最後まで実物を見ることも試座もしなかった。
(そのようなまま購入に至るのが「ヒトバシラ」の所以であるがそれはもうどうでもよい)
未知なる素材のものを買うにはわりと勇気が必要であると重々承知したので、 同じようにYL9を買おうかどうか迷われている方のために、このエラストマー素材の使用感を記しておこうと思う。
・エラストマーってどんな感じ?
まず化学的な説明についてはググっていただくとして、エラストマー素材は他のレビューにも多く見られるように 簡単に言ってしまえば「柔らかいプラスチック」だ。「硬いゴム」という意見も拝見した。
しかしどうだろう。これだけではうまく伝わっていない気がしている。
人ぞれぞれ「柔らかい」「硬い」の認識は違うのだ。
例えば硬式テニスのボールを思い浮かべてほしい。
あれは硬式野球のボールと比べれば柔らかいが、軟式テニスに馴染みのある人からすれば結構硬い。
持つ人の握力によってもその印象は変わる。
私の場合だったら「柔らかいもの」と聞けばすぐに「おっぱい」を連想してしまうのだが、じゃあこれはおっぱいのようなプラスチックということでいいのかと問われれば、残念ながらそれは違うと言わざるを得ない。
そもそも「おっぱいの柔らかさ」にも色々あるだろうから、仮に私が「エラストマー素材っておっぱいの柔らかさと同じだなあ」と思ったとしてもそれを「おっぱい」で例えるのは適切ではない。
より具体的な共通認識を得るためにももう一歩踏み込んでみることにする。
これと似たものは何かと探してみたところ、近いと感じるのは「カッターマット」だった。
皆カッターマットが手元にあるのか不安ではあるが、仕方がない。これが一番近かった。
カッターマットの手触りはサラサラ、若干ザラザラといった感じだ。
丸めようとすると簡単に曲がりはするが、完全には丸められず手を離せばすぐ元に戻る性質(弾性)がある。
この辺りがYL9のエラストマー素材に似ている。
YL9は少し厚みのある広いカッターマットに寄りかかっている感じと捉えると良い、かもしれない。
・座り心地は?
カッターマットに寄りかかる感じと言われても、それって座り心地としてはどうなのと思われる方も多いであろう。
これに関してはどうしても主観的にならざるを得ないのだが、実際座った感想としては「うん 硬いな」というのが第一印象ではある。そして座り直したりするとき背中が少しばかり擦れる感覚があり違和感を感じるというのが正直なところあった。
しかしこれには思い当たる節があって、私がこれまでに使っていたものが安物のメッシュ素材のものだからというのが要因とも考えられる。だいぶメッシュが緩んだ非常に柔らかい状態だったのでそれとのギャップをまさに体感したのではなかろうか。
こう書くとYL9を検討している方は不安に思われるだろうが全く心配しなくてよい。
一週間使ったらもう慣れた。違和感など全くない。
エラストマー素材について言いたいことは以上である。
ヘッドレスト
ヘッドレストは高さの調整と角度の調整ができる。ただし無段階調整というわけではなく、カチカチカチ、カクカクカク、といった具合の段階調整である。
高さは7段階、角度は4段階に調整できる。前後調整はできない。
そして材質は前項で述べたとおりエラストマー素材だ。
↑ 高さ調整。左が一番下の高さ、右が一番上の高さ。
↑ 角度調整。左が一番下を向いた角度、右が一番上を向いた角度。
個人的にはこのヘッドレストに対してちょっと言いたいことがある。
最初に述べた通り高さと角度の調整ができるわけだが、現状私のセッティングは「高さは一番下、角度も一番下を向く角度」にしている。
この設定で 深く腰掛け、背筋を伸ばした姿勢の良い状態で座ると、ヘッドレストが後頭部のくぼんだ位置にくる。これでようやくマイヘッドしっくりポジションだ。
つまり何が言いたいかというと、高さと角度が調整できるにもかかわらず、「高さは一番下、角度も一番下を向く角度」以外私には選択肢が無いと同然なのである。
浅く座ってダラっとしようものならヘッドレストはもう私の頭頂部近くにあってしっくりきていない。
すなわちもう1、2段階、高さを下げられたら良かったというのが正直な感想だ。
私の場合ダラっと座ったとしても何とか頭が掛かり支えにはなるので、たとえしっくりこなくてもヘッドレストはあった方がいいのだが、身長179cmでこの状態なので小柄な女性にはただの飾りになってしまうかもしれない。
そうなるとヘッドレストがないタイプ「サリダチェアYL6」も選択肢となりうるが、こちらは肘掛もないというのがネックであり非常にもどかしい。今のところオプションとしても肘掛は無いようだ。(2020年8月現在)
素材の硬さなどに関する使い心地は慣れる。そこは全く心配していない。
しかし体格は変えられるものではないので、YL9を検討している方はまずこのヘッドレストが合うかどうか試座なりしてチェックした方が良いと思われる。
ランバーサポート
そもそもYL9にはランバーサポート自体がない。
しかしここで効いてくるのがエラストマー素材なのだと思っている。
↑ 見てのとおりランバーサポートは無い。
これは憶測の域を出ないが、後ろから腰を押さえるパーツが付いているタイプのワークチェアは材質がメッシュのものが多いので、それがいずれ緩くなり初期のかたちから崩れてしまうことを前提としている。そのため、そのパーツが必要となっているのではなかろうか。
(もちろん高さなどの調整を行うためということもある)
その点エラストマー素材の場合、経年による形状の変化は起こりにくいためわざわざランバーサポートのパーツをつける必要がなかったのではなかろうか、ということだ。
実際エラストマー素材の絶妙な弾性によりしっかり私の腰を支えてくれているので今のところ全く不満はない。
とはいえ、ランバーサポートを妥協したのは私が腰痛持ちではないからということに尽きます。
極度の腰痛持ちの方はランバーサポートの高さ調整ができるかなど重要なポイントとなるでしょうからそこは慎重に選ばれたほうが良いと思います。
どうしてもYL9が気になっている場合は一度試座してみてください。
肘掛
高さは9段階、1段階でだいたい1cm刻みの調整が可能。
肘掛はイスをデスク下にしまえるかなど気になる点でもあると思う。
YL9は座面を一番低くし肘掛も一番低いセッティングにすると、床から肘掛までの高さはだいたい63cmである。(公式には62.5cmとあるが)
↑ 一番低くセッティングしたときの床からの高さ。
適度なクッション性があり、少なくとも私のメガネケースと同じ材質ではないのでひじが痛くなることもない。
↑ 肘掛は適度な柔らかさ。
・高さ調整のメリット
肘掛の調整機構は簡易的な「デスク延長機能」といって良い。
デスクの高さと肘掛の高さを同じぐらいにするとタイピングやマウス操作がとても楽だ。
これは肘掛がただあればいいというわけではなく、高さ調整が可能かというのがとても重要なポイントである。
私はその他条件との兼ね合いから総合的に見て肘掛は高さだけ調整できればいいかと判断したが、さらに前後左右等の位置調整ができたらもっと感動していたかもしれない。
↑ ネットサーフィンが捗る。
・肘掛の長さに関して
個人的には肘掛をもう少し後ろへ長くしてほしかった。
というか全体の長さ自体は充分なのだが、ひじを身体側へ引いたとき肘掛にひじが乗らないポジションなのだ。
そういった意味でもう少し長く、もしくは上で書いたように前後の調整ができたら尚良かった。
↑ 赤丸側をもう少し長くしてほしかった。
これは荒療治となるが左右の肘掛を逆に取り付けることでそれは解決する。
しかしオフィシャルな組み立て方ではないので正直解せない方法ではある。
座面
座面クッションにはモールドウレタンを使用。
高さ調整可。床から座面までの高さを42.5cm~51.5cmの間で調整できる。
そして5段階で座面位置の前後調整が可能だ。
・モールドウレタン
YL9で使用されているクッションはモールドウレタンというものらしい。
やや硬めな印象で、はじめは座り心地も当然硬く感じるわけだが、一週間で慣れた。全く不満はない。
少しググってみたところ、モールドウレタンは一般的に用いられるウレタンフォームと比べへたりづらいという特徴があるようだ。
ただ座面はウレタンであれメッシュであれ一番へたれやすい部分だろうし、実際長く使ってみなければその耐久性に関してまだ正当な評価はできない部分ではある。
・座面位置調整
特筆すべきことはない。
自分に合ったポジションを探れるのでとても良いと思おておるよ。
粉ミカン。