RAP MUSEUM
ヒップホップが誕生した日といわれている8月11日(1973)。その日のGoogleの凝った仕掛けを見て、おーと感じたのは私だけではないと思いますが、市原湖畔美術館でもおそらくその誕生日に合わせたと思われる「ラップ・ミュージアム展」がはじまったわけであります。もしかしたら奇跡的な偶然なのかもしれませんが狙ったならなかなか粋な計らいだなと。
で、私も遅ればせながら行ってまいりました。
どうやら関連イベントに合わせていろんなラッパーが訪れているようで、私の家からは近からず遠からずではあるものの同じ県内の自然あふれる田舎にラッパーが来ているということに大変ワクワク感を覚えております。
以下私がいいなーと思ったものを一部紹介。
サイプレス上野さんの部屋を再現したというもの。彼のヒップホップ愛を感じられる部屋となっておりまして置かれているアイテム一つ一つまじまじと見てしまいました。何かつくっている人の部屋ですとか制作環境を見るというのはその人の頭の中を見るようで好きです。
・いとうせいこう&TINNIE PUNX - 東京ブロンクス
・LAMP EYE - 証言
・MSC - 新宿アンダーグラウンドエリア
・KOHH - Living Legend
上の4曲を実際に聴きながらどのように韻を踏んでいるか、言葉を音にどう嵌めているかというのをわかりやすく視覚的に解説したもの。こういった解説が普段からあふれかえったら野暮となりますが美術館という場ならではの企画だと思います。
あともしかしたらフラっと訪れたおじいさんがLAMP EYEやMSCを聴くかもしれないと思うと少しそわそわしますし、ヒップホップ聴かない人が聴いたとき純粋にどう思うのか気になるなと。
ラッパー(MUMMY-D, Ani, Bose, クボタタケシ, TWIGY, K DUB SHINE, SHING02)のリリック帳も展示してあります。ここは撮影禁止でしたので遠目で。
田中光さんのTwitterで、総じて字がきたなくて安心したと拝見していましたが見て納得しました。とはいうもののそれぞれやはり個性が出ていまして落書きが多い人や、よく残していたなと思える紙切れに書いてあるもの、SHING02に関していえば性格が表れているのか字が小さくて細かいなどなど見ていて面白かったです。リリック帳はとてもプライベートなものなのでこの展示は結構貴重かと。
そして少しだけカセットテープ。私はカセットテープ時代というのはかすったぐらいでしかなので聴いてみたい作品がたくさんありました。
HIDENKAさんのやつや、
エルドラド、
JUBE & BABAのやつ、
LL Cool J太郎(←ジャケがHIPHOPすぎる)に目を奪われながらのLEVEL5(SUIKEN+K-BOMB)。
展示されているもの全部聴けるようになってたらなあと思うばかりでした。
他にもレコード、日本のヒップホップカルチャー雑誌、書籍、Tシャツがあったりもします。
と大変貴重なものを観れたりと見所もある展示でしたが、期待して身構えていったわりにあっさり見終わってしまったなと少々物足りなさを感じるところもあります。個人的にはもっとマニアックなアーカイブなり音源を聴けたり、日本のDJ、グラフィティ、ダンスといった他のヒップホップ要素についても触れてほしかったなと。
ただラップもポップカルチャーとなり、昨今のフリースタイルブームで少なからず認知度が高まり裾野が広がったことを考えれば、ヒップホップのイントロダクションとしてこういう展示になるよなと思いますし、何より美術館でラップの企画を行うという試みは未知な感じでワクワクさせられました。そしてヒップホップヘッズとアカデミックな人や場が交わい得る機会ができたことは双方にとって大変価値がありますし、ぜひこの一回にとどまらず実験を重ね文化の発展と熟成を推し進めてもらいたいです。
普段鉄コン筋クリートジャングルの中で生活する方たちも小旅行がてら千葉県の田舎へ大自然を触れに訪れてみてはいかがでしょうか。
おまけ
前回湖畔美術館へ来たときに出会った猫。非常に人懐っこくてかわいかった。
Neko(Remix)